ギニア共和国におけるサパの活動報告 2005年4月〜2005年12月
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目次
事務局長 野澤眞次
はじめに
2005年はサパの活動の節目の年となりました。貧困解消には、森造りと土作りが不可欠であるとの啓発活動を行ってきましたが、ようやくその成果が対象村民達に理解されてきました。
元来NGOの役割は、村民達が自助努力で貧困を解消する活動の支援にあります。いつまでもサパに依存されることは避けねばなりません。このことでは村と十分話し合いを行い、以下の合意を取り付けました。
●熱帯林再生の保育管理を村に移管しました
1999年にスタートしたキンデイア県モロタ村及び、サムレア村、セエンテ村の熱帯林再生植林は、サムレア村の一部の発育不良地を除き他は順調に生育しています。 2003年の7月からは、待望の選伐作業がモロタ村のシンバラヤ集落で開始され、2005年4月から選伐を含めた森の保育管理を地元集落に移管すべく、保育の自主作業への指導を実施しました。その後の経緯については、各集落の担当村民が交代で巡回し、植林地の生育状況をチェックしています。
●ギニア人スタッフ全員を円満解雇しました
保育作業を村に移管したのを機に、これまで熱帯林再生活動に従事していたギニア人スタッフ4名を3月に解雇しました。彼等はサパのスタッフとして再生に伴う各種作業の技術を身に付けましたので、今後再生林の保育面で村民の一員として育成協力していくことになればと思っています。
又、サナワリア村の有機農法の普及活動で従事していたギニア人スタッフ2名が、前述のローカルNGO「SUPOR-GUI」(スポルギー)を設立しサパから独立しました。
このギニアで生まれたNGOが会員を募り、サパの活動テーマである「貧困解消」を踏まえた各種活動が推進されることを期待しています。
●ローカルNGO「SUPOR-GUI」について
「SUPOR-GUI」(Support aux Populations Rurales de Guinee)は、サパの活動テーマである「貧困解消」活動をギニア人自らの手で実現したいとの願いで、2005年7月に設立されました。2005年末の段階では、未だギニア政府の活動認可は下りていませんが、任意団体として定款を始め運営に必要な資金調達及び、会員募集を実施すべく準備を進めています。
代表は元サパのスタッフリーダーであった「オスマン スマ」が就任し、同じく元スタッフのジャン ミッシェル カマノが代表補佐を勤めています。首都コナクリ市にある銀行に口座を開設し、事務所はサパと同じくドウブリカ県タネネ郡サナワリア村ラマヤ集落に設置しました。今後の活動は、サパが推進中のウオレア村「保護林の造成」活動の一翼をどこまで担うことが出来るかが鍵になります。
●新規にウオレア村で「保護林の造成」活動がスタートしました
2005年4月よりサナワリア村に隣接するトルマレン郡ウオレア村で「自然の創出による住民と動物の共生を目指す保護林の造成」活動が開始されました。このプロジェクトは、埼玉県所沢市の「三富新田」に纏わる310年前の生活自立を目指し成功した史実をモデルに立ち上げました。
「三富新田」については、310年前に当時の川越藩主「柳沢吉保」が、人口増の解決策として不毛の地とされた三富地区に農民を入植させ、6〜10年間で見事生活自立が実現した開拓地で、サパの西アフリカにおける「貧困解消活動」のモデルにしています。
▲ウオレア村の概況
1999年より熱帯林再生植林を実施しているモロタ村(ウオレア村北東300km)との地勢の違いを下記します。
▲モロタ村
50〜60年前まで豊かな熱帯林が繁茂していた海抜700m前後の起伏に富む山で構成されていましたが、その後、商業伐採と焼畑造成で降雨による土壌浸食が始まり表土の流亡が促進されました。そのため低地に比較的肥沃な土壌「砂質壌土」が堆積され、農地としての機能を備えるようになっています。他方、高めの土地は、堆積層が浅く耕作に適している箇所は限られています。双方とも土壌の保水性は低く、耕作は雨季に限られています。
▲ウオレア村
上記のモロタ村と異なり、海岸に約30kmと近く丘陵も少なくほぼ平らな地形となっています。海に注ぐ川は村を迂回し村内は流れていません。過去50〜60年以降は森林繁茂の形跡がなく、村の北約200kmから隣国セネガルの国境までの山岳地帯から数多くの川が流れ海に至っています。そのため山からの岩石が川水と共に流れてきており、所々に小さな岩塊が見られます。又、土壌は粘土質で排水が悪く、乾季にも雨季の降雨水の小さな停滞水池が岩と共に散在しています。従って各種の鳥類の飛来は多くありますが、この村は農業に不向きとし村民約200人の人口に変動はありません。出生他で増加した村民数は、下から押し出されるように他の地区へ出稼ぎで離村するため、居住数に大きな変動はないとしています。このような状況から、村内土地の利用度は数%で他地区からの入植を阻害する大きな要因となっています。この村には学校他の公共施設は皆無で、小学校は隣のカリエール村(Corriere)に徒歩約15分の距離にあります。
●保護林造成にたいする基本理念について
ウオレア村には現在森は存在せず、樹高1〜3mの潅木が散在する原野が大半を占めています。村民達の生活基盤は、北の山岳地帯から川水で運ばれてきた沖積土壌が堆積している僅かな土地を耕作し、そこから収穫される農作物に支えられています。
ところが耕作土壌を活性化させる手段を持たない収奪農業のため、年々収穫量が減少し生活基盤が脆弱化しています。
従って、サパは農業のみでの生活自立は困難とし、村民達に「保護林の造成」による自然の創生が恵みをもたらし、生活基盤の構築が実現するとの啓発を実施してきました。
サパが以前から提唱している「基本理念」の具現化です。過去7年間モロタ村で行ってきた熱帯林再生活動が「自然への回帰」をもたらした実績をモデルとして、ウオレア村の住民達に順次伝えたいと計画しています。
●保護林造成の具体的作業について
ウオレア村の活動地一帯は、岩石が散在し小川はなく住民達が耕作を敬遠している不毛に近い土地でした。「三富新田」成功の手法に習い、先ず「森造り」をスタートさせるべく、植栽用苗木の育成をラマヤ地区で着手しました。ラマヤ地区はウオレア村に隣接するサナワリア村の西端に位置し、2001年11月建設した「有機肥料生産技術研修センター」及び、深井戸があり、苗木の育成環境が整っている場所です。又、ウオレア村の活動現場まで約6kmと近く、苗木運搬も容易な位置にあります。
▲育苗作業
雨季が始まった6月から、植栽対象とした3種の苗木(メリナ、アカシアマンギューム、ニーム)育成を開始しました。内、ニームの種子入手が困難のため一部購入しました。今年の雨季の最盛期に当たる7〜9月には豪雨が頻発し、農作物に被害をもたらしました。例年にない激しい降雨で、発芽したばかりの稲、落花生等が流されると共に、耕作地の土壌も大粒の雨滴による流亡が継続発生しました。地元の長老達も過去に経験しない異常気象だとの言でした。このことは西アフリカ全体の現象と捉えています。
▲地拵え作業
上記の育苗作業と平行して、植栽予定地内を東西60m幅に区画し、内10m幅の帯内での植栽を容易にするため、潅木を伐採し植栽箇所の確保を目的とする「地拵え」を実施しました。残りの50m幅内に自生する潅木はそのまま育成し、3〜5年後に有用樹を残しそれ以外を伐採する作業「選伐」を行うことになっています。ウオレア村の村民にとっては始めての作業参加となりました。
▲植栽作業
9月後半から上記「地拵え作業」が終了した場所順に、上記の3種類苗木の植栽作業を開始しました。10月末の樹種別植栽本数は下記の通りとなりました。
▲今後の作業について
12月から厳しい乾季に入ります。今年は育苗作業が種子の入手難から遅れましたのに伴い植栽作業も大幅に遅れ、一部植栽できない箇所が発生しました。この箇所約0,5haは、止むを得ず翌年の雨季に補植を行うことになりました。1月には苗木への潅水のための井戸掘りが控えています。
機械での掘削でなく、経費の安い手掘りによる浅井戸を予定しましたが、潅水に必要な湧水量が確保されるかどうかは、実際に掘ってみないと確認できません。又、岩石が比較的多い地区ですので、この面でのリスクがあるかも知れません。
●その他地区での活動
2004年7月から2005年6月まで郵政公社の「国際ボランテイア貯金の利子」による助成により、サナワリア村における生活自立活動を実施しました。
この中で、2005年2月以降の主な活動として保健衛生部門の下記活動があります。
▲ギニアウオーム病予防のための深井戸の設置とマラリア予防の蚊帳の配布活動
サナワリア村に2基の深井戸が設置され合計6基となりました。
1998年からスタートしたサナワリア村の生活自立活動の内、ギニアウオーム病予防のための深井戸設置は、2004年までにマデイナ、ラマヤ、ダラサラーム、サナワリアの各集落に1基、計4基を設置し、各集落民の病気の予防と清潔な飲み水の供給に貢献してきました。
2005年は新たにミシラ、カンカリバの2集落に各1基の深井戸を設置しました。これでサナワリア村の深井戸設置は合計6基となり、当初の計画を終えることになります。
マラリア予防のため蚊帳の配布を行い、マラリア罹患の減少につなげる成果を上げました。
ギニアでは、子供の死亡原因のトップがマラリアの罹患によるものです。マラリアの治療薬は高価で一般の人達は手にすることができないのが現状です。そのためサパでは、地元ギニア加工の蚊帳を購入し、サナワリア村の幼児のいる家庭を中心に無償配布を行っています。マラリアを媒介するハマダラ蚊は、夜間活動する性質があるため、蚊帳の使用は最も確実な予防手段と言えます。 2004年12月〜2005年3月の4ケ月間、サパのスタッフジャン ミッシェル カマノ(保健衛生技術士)が、集落毎に24名の子供に蚊帳を貸与使用した実績と、同じく24名の子供(0〜5歳)を対象に蚊帳を使用せずに過ごしたケースとの比較試験を行ないました。以下はそのデーターです。
集落毎に24名を12名に二分しA Bに分けました。
従って試験対象幼児数は、12名×8グループ=96名となります。蚊帳使用の効果は絶大で、蚊やその他の虫による皮膚への被害は僅か1名に過ぎません。
尚、蚊帳無使用グループの被害者は、必ずしもマラリア罹患でなく、他の原因によるものも含まれています。
サパは「農薬蚊帳」の生産、配布に反対のキャンペーンを実施しています
最近、ODA関連で蚊帳の糸に殺虫剤を練りこんだ農薬蚊帳がギニアの市場で見かけるようになりました。
日本の化学会社「住友化学」が、東アフリカのタンザニアで日本のODAの支援を受けて「農薬蚊帳」の生産工場を建設し、ユニセフ、WHO等の国連機関を通じてアフリカ各地で無償配布を実施しています。
サパはこれらの蚊帳に使用の農薬「ペルメトリン」に発ガン性と内分泌撹乱の疑いがあること(アメリカ科学アカデミー他)及び、元来蚊帳にはマラリア媒介のハマダラ蚊が蚊帳の中に入れない機能を有していること等から農薬練り込みの必要性はありません。このことは、サパの「無農薬蚊帳」配布実績が立証しています。
農薬コストを蚊帳の数量アップにつなげることで、より一層のマラリア予防につなげることができます。税金の無駄使いを無くするためにも「農薬蚊帳」の生産、配布に反対を表明します。
又、国連関連団体のユニセフ、WHO等も速やかに農薬蚊帳配布を止め「無農薬蚊帳」の普及でマラリアの根絶を図るべく方向転換の実施を強く要望します。
2004年1月〜6月のシンバラヤ地区の選伐実施面積は、合計6.5haとなりました。作業は、一本一本特定樹種と特定木を選び伐採する高度の技術を必要とするため、スタッフ4名が研修を兼ねて対応しました。 中でも重要事項は、選伐する樹木の特定です。通風のため樹種に関係なく伐採するのでなく「選伐」の言葉どおり選ぶ基準を設けて伐採します。村民達の生活に有益な有用樹の育成を優先しますが、混交林の構成上不要な樹木を残す選択も必要となります。 又、選伐作業に欠かせないのは、生育している各樹種の特性の熟知です。従って昨年から熱帯林の専門家である「内村悦三博士」の指導の下、モロタ地区の「植生調査」を地元集落の長老の参加のもと実施してきました。
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