
首里城公園で秋に行われる一大イベント・中秋の宴。琉球王朝時代から続く中秋の宴は、中秋の名月イベントの一つですが、一般的な観月祭とはちょっと違います。秋の沖縄旅行を計画するなら、ぜひチェックを!
中秋の宴の由来
中秋の宴は、琉球王朝時代から続く正式な宴です。
もともと中秋の宴は、中国からの使者である冊封使をもてなすために開かれたもので、冊封七宴(さっぽうしちえん)の中の第三宴が行われます。
中秋の宴は、国家レベルの一大イベントだった
独自のルートで中国とのつながりをもっていた琉球王国でしたが、関係を良好な状態で継続するために、かなり苦労をしていたようです。なかでも、最も頭を悩ませていたのが、中国からの使者である冊封使の対応。
様々な政治的難問をいくつも解決した有名な政治家・蔡温ですら、無理難題を押し付けてくる冊封使の対応に苦労したといいますから、冊封使の無茶ぶりは相当なものだったのでしょう。
そんな中国からの使者の接待は、国の安泰のためにはどうしても成功させなければならない、国家レベルの一大イベント。それだけに宴では、琉球王国の威信にかけた華やかな芸能や舞台が行われていました。
400~500名規模の使節団を一度にもてなす冊法七宴
琉球の国王が変わると、中国皇帝の直接の使者が琉球にやってきて、首里城で即位式がおこなわれます。この即位式のために中国から派遣される使節団の数は、約400~500名にもなったといわれています。中秋の宴の見所
旧暦の8月15日に行われていた中秋の宴は、今でも、首里城正殿前で行われます。幻想的にライトアップされた首里城正殿をバックに、古典舞踊や組踊などが披露される中秋の宴は、沖縄の秋の風物詩となっています。
組踊
沖縄の伝統芸能の一つである組踊を簡単に説明すると、「琉球王朝時代に作られたミュージカル」といったところ。
もともと組踊というのは、中国からの使者(冊封使)の接待のために作られた歌舞劇のことで、玉城朝薫(たまぐすく・ちょうくん)が作りました。
組踊を楽しむポイント
組踊は、音楽・舞踊・セリフの3つで構成された音楽劇です。劇では、沖縄の伝統的な琉球音楽が使われますし、踊りでは琉球舞踊が登場します。さらにセリフには、琉球の方言の中でも「首里方言」が使われるのが特徴にあります。
ストーリーは、「勧善懲悪」をテーマにしているものがほとんど。友情や家族をテーマにした作品から、男女の大恋愛や宿敵との激闘をテーマにした作品など、様々あります。
役者たちの動きも、ゆったりとした優雅な動きだけでなく、コミカルな動きが入るシーンもあります。
沖縄独特の方言や音楽に戸惑いを感じるかもしれませんが、見ているうちに、演じる役者の動きや歌などから想像力を働かせてストーリーを追っていくことができるようになります。これも、組踊ならではの楽しみ方といえます。
じっくりと組踊を楽しみたいなら…
じっくりと組踊を楽しみたい人におすすめしたいのが、国立劇場おきなわでの組踊鑑賞です。
国立劇場おきなわは、1972年に国の重要無形文化財に指定された組踊を含め、沖縄の伝統芸能の保存や振興を図ることを目的に設置された国立劇場です。そのため、国立劇場沖縄では、定期的に組踊が上演されます。
国立劇場おきなわでは、公演予定月の前月1日から鑑賞チケットが販売されていますし、インターネットでのチケット販売も行われていますので、興味のある方は、公式ホームページをチェックしてみてくださいね。
国立劇場おきなわ- 住所:沖縄県浦添市勢理客4-14-1
- 電話:098-871-3350
国王・王妃選出大会
首里城公園が主催するイベントに登場する国王と王妃は、毎年、中秋の宴で開催される国王・王妃選出大会で選ばれています。国王・王妃ともに一般公募となっていて、それぞれ次のような応募資格を満たした候補者が大会に参加します。
国王・王妃共通の応募資格
- 年齢が18歳以上であること。未成年の場合は、保護者の同意があれば応募できるようです。
- 沖縄県内在住者であること。琉球の国王と王妃ですから、ここはやっぱり大事ですよね。
- 「琉球王朝絵巻行列」「新春の宴」「中秋の宴」に必ず参加すること。
国王のみの応募資格
国王は、琉球王国の最高権力者という立場にあります。ですから、それなりに見た目にもこだわらなければならないようです。
- 身長170cm以上であること。昔の琉球国王は、それほど身長は高くなかったようですが、現代版の国王ですから、隣に立つ王妃とのバランスも考えれば、やはり身長170cm以上は必要ということなのでしょうね。
- 重厚な風格を備えていること。実際に大会を見学する際には、この部分に注目してみると面白いです。
王妃のみの応募資格
国王の隣に立つ王妃にも、国王にはない応募資格があります。
- 身長160センチ以上であること。比較的小柄な女性が多い沖縄ですが、身長170cm以上の国王の隣に立つわけですから、やはり160cm以上は必要なのでしょうね。
- 髪の長さが胸元まであること。王妃は、髪をきれいに結い上げる必要があります。そのためにも、一定の髪の長さは必要だということなのでしょう。
国王・王妃選出大会の楽しみ方
今でも、新しい国王と王妃が決まると、テレビや新聞などでニュースになるくらい注目されていますから、できるだけ近い場所で国王・王妃候補たちを見るのが、楽しみ方のポイント!
ただし、候補者の家族や親族、友人たちも、決定の瞬間を見届けようと気合を入れて会場入りするはずなので、良い席はできるだけ早確保するようにしましょうね。
中秋の名月
イベント会場となる首里城公園は、首里の高台に位置するため、昔から夜景の美しい場所として地元では有名なスポット。
とくに中秋の宴が行われる日は、会場となる首里城の空に中秋の名月が浮かんでおり、美しい月とともに、琉球古来の伝統舞踊を観劇することができます。
首里城公園内の絶景夜景スポット
イベントが行われる首里城正殿からの景色も素晴らしいのですが、首里城公園内には、ほかにもおすすめの絶景夜景スポットがあります。
せっかく沖縄で中秋の名月を楽しむチャンスですから、最高の夜景スポットで楽しみたいですよね?そんな時におすすめなのが、「西(いり)のアザナ」と呼ばれる展望台です。
西のアザナは、首里城の中で最も景色の良い場所。昼の眺望もおすすめなのですが、夜は美しい夜景を見ることが出来る穴場スポット。首里の高台で夜風にあたりながら、目の前に現れる美しい満月と那覇市内の夜景をゆっくりと楽しんでください。
首里城公園 中秋の宴- 実施日:旧暦8月15日付近の週末
- 時間:18:30~21:00
- 場所:首里城正殿前御庭
- 料金:観覧無料
- 主なプログラム:琉球古典舞踊、組踊、国王・王妃選出大会