SUPA沖縄

沖縄を楽しむ為の情報サイト

沖縄を知る

日本初の天然痘予防接種を成功させたのは沖縄の医者だった

投稿日:2019年2月5日 更新日:

予防接種

本州から遠く離れた沖縄。それだけに「医者の技術は本州のほうが凄い」というイメージがあるかもしれません。でも日本初の天然痘予防接種を成功させたのは、琉球王国の医者だったのです。

命がけで中国にわたり医術を学んだ伝説の医者

日本で初めて天然痘の予防接種を成功させた沖縄の医者の名は、仲地紀仁といいます。仲地紀仁は医者の一族の息子として那覇市泊に生まれ、祖父には琉球王府の医官として活躍した仲地紀嘉がいます。そのこともあってか、仲地紀仁も成人を迎えると医者として働き始めます。

医者として働き始めた仲地紀仁ですが、患者と向き合っていくうちに最先端の医学を学びたいと思う気持ちが高まっていきます。当時の最先端の医学が学べるのは中国だったのですが、そう簡単に留学ができる状況にはありませんでした。それは当時の航海技術の未熟さにありました。

どんなに紀仁の医者としての志が高かったとしても、当時の航海技術では中国まで無事にたどり着く保証はありませんでした。海が荒れれば航路から大きく外れて全く違う場所に漂流してしまう可能性もありましたし、それ以上に命の保証すらもありません。当時は中国に留学をするということは、命を落とすかもしれないという危険が伴うものだったのです。

もちろん紀仁の両親も息子が死ぬかもしれない中国への留学は大反対でした。何度も説得をし息子の中国留学を諦めさせようとしますが、紀仁の決意は全く揺らぎません。紀仁のの友人や知人たちも説得にあたりますが、これも紀仁の心を動かすことはありませんでした。結局紀仁は両親や友人・知人たちの反対を押し切り、命がけで中国留学を強行したのでした。

帰国の途中で薩摩に漂着したことでさらに医学を学ぶ

無事に中国へとたどり着いた仲地紀仁は、四年をかけて中国で内科や眼科の最先端医学を学びます。そしていざ故郷の琉球へ戻るために、四年ぶりに船へと乗り込みます。ところが紀仁が乗り込んだ船は不幸なことに途中で台風に遭遇してしまいます。命は助かった紀仁ですが、台風によって大きく進路を外れてしまった船は琉球からほど遠い薩摩藩領に漂着してしまいます。

当時薩摩と琉球は交易をおこなっていましたから、紀仁が望めば琉球行きの船に乗ることもできました。ところが紀仁は琉球行きの船には乗らず、そのまま薩摩の有名な医者のもとでさらに内科学と外科学を学びます。こうして医学を学ぶために故郷を離れた紀仁は、中国で内科と眼科、薩摩で内科学と外科学を学んだあと故郷の琉球へと戻ってきたのでした。

天然痘予防接種の成功の裏に英国人医師の存在

琉球に戻った仲地紀仁は、医師として数多くの患者の治療に当たります。時には重傷を負ったまま琉球に漂着した中国人の命を救い、時には医師の少ない宮古島へ自ら島に出向いて治療を行いました。こうして医師として活躍することにやりがいを感じていた紀仁ですが、常に心の中には当時不治の病として恐れられていた「天然痘」のことがありました。

天然痘は当時の人々にとって、最も恐れられていた病気でした。発症すれば50%の確率で死に至り、たとえ治ったとしても体中に無数の痘痕が残るため死んでも生き残っても苦しみだけが残る恐ろしい病気とされていました。

当時の琉球の人々には天然痘に関する知識などはありませんでしたから、なぜ感染するかということもわからなければ治る方法すらもわかりません。そのため天然痘にかかったら「神様にお願いする以外には方法がない」と言われていました。

そんな時に紀仁が出会ったのが、キリスト教の宣教師として琉球を訪れていたイギリスの医師・ベッテルハイムでした。ある時ベッテルハイムが天然痘の予防法を知っているということを耳にした紀仁は、何とかしてベッテルハイムからその方法を学ぼうとします。

ところが当時の琉球は西洋文化を排除しようという動きが強かったため、宣教師として訪れていたベッテルハイムを事実上の監禁状態にし、常に王府関係者の監視下のもとに置いていました。つまり紀仁がベッテルハイムに会うということは、王府の命令に逆らうことでした。もちろん見つかればこれまでの努力がすべて消えるだけでなく、厳しい処罰も免れることはなかったはずです。それでも何とか天然痘に苦しむ人々を救いたいと思う一心で、命がけでベッテルハイムから予防法を伝授してもらいます。

こうして天然痘の予防法を学ぶことに成功した紀仁は、その二年後にようやく天然痘の予防接種ワクチンの採取に成功し、その結果も見事に成功しました。こうして仲地紀仁は、日本で初めてとなる天然痘の予防接種に成功を収めたのでした。

-沖縄を知る


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

冬至

沖縄の冬至はちょっと違う?

みなさんは年中行事を大事にしていますか?お正月やお盆だけでなく、ひな祭りや七夕などの行事も大事にすると生活にメリハリが出来ます。きっと先人たちの智恵なんでしょうね。今日は沖縄の冬至についてご紹介します …

市場中央通り

牧志公設市場を歩く

テレビやガイドブックでお馴染みの「牧志公設市場」。那覇市民の台所?地元民は利用しない?真相に迫ってみました。 牧志公設市場に行ってみました 国際通りにあるドン・キホーテの脇の道が「市場中央通り」です。 …

かき氷

沖縄で創業100年以上のお店を集めてみた

本州とは異なる独自の文化を持つ沖縄。観光に訪れると、見るものすべてが不思議に見えるのも当然かもしれません。そんな沖縄で「創業100年以上」を誇るお店にはどんな魅力があるのでしょう? 明治38年創業!沖 …

古宇利島

沖縄のフォトウエディングで穴場のスポット

美しい海と空、異国情緒あふれる沖縄では、フォトウエディングが人気です。実際に地元でなければわからない穴場のスポットもたくさんあります。そこで地元目線で、穴場のフォトウエディングスポットを紹介! ビーチ …

沖縄では、大相撲よりも沖縄角力が人気

なんだかんだと注目を集めている大相撲。でも、世間の注目がなくても、地元で絶大な人気を誇っているのが、沖縄相撲。ルールも魅力も大相撲とは違うのに、地元では超人気!そんな沖縄相撲の魅力を紹介します! そも …