
沖縄の県民服といえば「かりゆしウェア」があります。社会人になれば最低1着以上は誰でも持っているかりゆしウェアですが、そもそもかりゆしウェアは沖縄県民にとってどんな存在なのでしょうか?
かりゆしウェアは沖縄の夏の正装
かりゆしウェアは、れっきとした「沖縄の夏の正装」です。そのことは沖縄県のホームページでもはっきりと書かれています。
ただしかりゆしウェアと呼ぶには、2つの定義を満たしていないといけません。まず最も大事なことは「沖縄県産であること」です。デザイン的にもよく似ているものにはアロハシャツがありますが、どんなにデザインが似ていてもこれをかりゆしウェアと呼ぶことはできません。それが2つ目の定義である「沖縄らしいデザインであること」と関係します。
かりゆしウェアもアロハシャツも、南国らしい明るい色やイラストが描かれています。でも「南国らしさ」の中にもかりゆしウェアには「沖縄らしさ」があります。
もともとかりゆしウェアの「かりゆし」には、「めでたい」「縁起が良い」という意味があります。そのためどんなに南国らしい色や柄であっても、そこに「沖縄らしさ」がなければかりゆしウェアとは言えないのです。
こうしたこともあって沖縄のかりゆしウェアには沖縄の伝統的な染織物を生地に使っていたり、沖縄の自然や植物・文化などをモチーフにしたものが柄として使われています。
かりゆしウェアは沖縄のビジネスマンの必需品
沖縄のビジネスマンの場合は、かりゆしウェアも「普段の職場用」「営業用」「フォーマルなパーティー用」の3パターンは必ず持っています。
特に外出の予定がない職場の場合は営業用のかりゆしウェアは必要ありませんが、県内で行われる祝賀会やパーティーに出席する時にはいつもよりも上等(上品な柄や上質な生地を使ったもの)なかりゆしウェアを着ます。これはかりゆしウェアが「正装」として扱われていることにも関係します。
ちなみにかつて私が営業職をしていた時には、「営業用」のかりゆしウェア選びが営業の成果につながることもよくありました。特に営業先の業務内容に関係しそうなモチーフや染織物を使ったかりゆしウェアを着ていくと、ファーストコンタクトの時点から反応が良かったです。
営業先の業務内容を意識して選んだかりゆしウェアですから、初対面でもかりゆしウェアの話題から話を進めることが出来ます。しかも「よくウチの会社のことを調べているね!」と誉めてもらったこともあります。私ですらこんな経験をしているのですから、県内の営業マンであれば今でも営業用のかりゆしウェアは必ず持っているはずです。
県内の観光施設や土産物品店ではスタッフの制服にかりゆしウェアが定番
県内には至る所に観光施設があります。もちろんこうした観光施設の周辺には必ず土産物品店がありますよね?基本的にこうした場所で働いているスタッフの制服はかりゆしウェアです。
ホテルのフロントスタッフの制服も比較的かりゆしウェアを使っているところが多く、ホテルのランクが高くなるほど制服のかりゆしウェアのお値段も高くなります。一般的なかりゆしウェアは襟元が開いている開襟シャツタイプが多いのですが、スタンドカラータイプ(学生服の詰襟のような感じ)のかりゆしウェアもあります。
スタンドカラーのかりゆしウェアはやはり開襟シャツタイプよりも上品に見えるので、1泊あたりの宿泊料金が高い高級リゾートホテルなどではこちらのタイプのかりゆしウェアを制服にしていることが多いです。
ちなみに土産物品店でスタッフ用の制服になっているかりゆしウェアは、どちらかというとポップな柄がプリントされています。定番はハイビスカス柄ですが、中にはパイナップル柄のかりゆしウェアなどもよく見かけます。しかも目立つことが前提にあるのか、全体的に柄がプリントされているのもよくあるパターンです。
夏の結婚式では男性の正装としてよく使われている
夏の結婚式に参加する場合、男性は特に服装に困りますよね?さすがに披露宴会場が屋外というケースはほとんどないのでフォーマルなスーツで参加することが多いでしょうが、さすがに長袖シャツにネクタイ姿となると式場までの移動の間に汗でクタクタになってしまいます。
ところが沖縄の結婚式に男性がお呼ばれした場合は、ほとんど服装で悩みません。「夏の正装=かりゆしウェア」なのですから、フォーマル系のかりゆしウェアに落ち着いた色のスラックスを合わせれば一般の参列者の服装としては十分!中には友人同士で同じ柄のかりゆしウェアを着る(多分これは沖縄特有の「余興」のためだと思われるのですが…)こともあります。
女性の場合はかりゆしウェアを結婚式で着る方はまだ少ないように感じます。女性の場合は本土の結婚式のお呼ばれスタイルとほぼ同じで、フォーマルなドレスに涼しげなストールを合わせたパーティースタイルが主流です。
ちなみにいくら夏の正装とは言え、新郎新婦の両親がかりゆしウェアを着ることはないようです。フォーマルなシーンでの服装は時代によっても変わりますが、結婚式の新郎新婦の正装は今でも男性はモーニング姿ですし女性は黒留めそでです。さすがにここに関しては昔も今も変わりはないようです。
沖縄県民は社会に出たら最低1着は自前のかりゆしウェアを買う
沖縄県民にとってかりゆしウェアは、「県産品」というだけで大事にしているわけではありません。「夏の正装」といわれていますが、どちらかというと「社会人になったら1着は持つべき服」と言えます。
持っているかりゆしウェアの数は人によっても違いますが、社会人になれば「かりゆしウェアがドレスコード」という場にも足を運びます。もちろんこれは暗黙のルールのようなものなのでかりゆしウェア以外でもマナー違反ではありません。
でも県内のビジネス上のパーティーでは、ドレスコードの指定がなくても沖縄県民であればかりゆしウェアを着るのが常識という場合もあります。こうした場所にシャツとネクタイをつけていくと、「あいつは内地の企業だな?」とか「沖縄の常識がわからないビジネスマンだな」と思われてしまいあまり良い成果は得られません。
それだけ沖縄県民にとってかりゆしウェアは社会人であれば必ず持つべき大事な勝負服!もしも「沖縄に移住する」または「ビジネスで沖縄に出張に行く」というのであれば最低限1着はかりゆしウェアを準備しておいた方がいいですよ!