台風に慣れているといわれている沖縄ですが、実は、過去には、何度も猛烈な台風によって被害を受けてきたという歴史があります。
沖縄には毎年どのくらいの台風がやってくるのか?
沖縄は、台風が多く接近するといわれていますが、実際には、どの程度の規模の台風が、毎年接近しているのでしょうか?
毎年平均25.6個の台風が発生している
沖縄気象台では、1951年から、沖縄に接近する台風を調査しています。この中で、沖縄気象台が発表した「台風の発生数と沖縄県の接近数(1951年~2016年)」があります。
この報告書によると、調査を開始した1951年から2010年までの60年間で、発生した台風の数は、1579個。これを、年平均で計算すると、26.72個の台風が発生しているということになります。
ちなみに、沖縄気象台が発表している平年値では、抽出データの時期を、1981年から2010年の30年間としているのですが、このデータによると、年平均25.6個の台風が発生していることがわかります。
沖縄では、一年に7.4個の台風が接近する
沖縄気象台の「台風の発生数と沖縄県の接近数(1951年~2016年)」によると、沖縄に接近した台風は、年平均7.4個と発表されています。
最も多くの台風が接近するのが8月で、年平均5.9個発生する台風のうち、2.2個が沖縄に接近しています。
最も多くの台風が接近した年
1951年から2016年までの間で、最も多くの台風が接近したのが、2004年のことでした。この年に発生した台風の数は、全部で29個なのですが、そのうちの15個が沖縄に接近しています。特に、8月においては、8個発生した台風の半数が沖縄に接近したという記録があります。
2004年に沖縄に接近した台風
2004年に沖縄に接近した台風は、台風2号、4号、6号、7号、13号、15号、16号、17号、18号、20号、21号、22号、23号、24号、27号の全15個あります。
台風23号は、全国的にも甚大な被害を及ぼしたこともあり、この年の台風を代表するものとなっていますが、沖縄では、この台風よりもさらに勢力の大きなものもこの年に接近しています。台風23号は、最低気圧が940hPaでしたが、8月に発生した台風16号は、最低気圧が910hPa。台風の寿命は18時間もあり、県内各地で様々な被害を及ぼした台風でもありました。
しかも、この台風16号は、近年まれにみる風台風で、猛烈な風による被害が広がった台風としても記憶に残る台風でした。
台風の接近が最も少なかった年
平均7.4個の台風が接近する沖縄ですが、台風の接近が少ない年もあります。
調査データによると、1973年(昭和48年)と2009年(平成21年)は、最も接近数が少ない年にあたり、1年間で3個の台風のみとなっています。特に2009年は、台風シーズンのピークである7~9月の3か月間には、わずかに1つしか接近しておらず、残りの2個の台風は10月に発生しています。
沖縄で台風の心配がほぼないのはいつ?
沖縄に接近する台風は、なにも台風シーズンだけに限られたものではありません。
ゴールデンウィークで観光客が多く沖縄を訪れる5月は、2~3年に1度の頻度で台風が接近していますし、10年ほど前までは、11月に接近する台風も、数年に1度の頻度で接近していました。
そんな沖縄で、データ上ほぼ台風の心配がないといえるのが、1~3月までの3か月間です。この3か月に限っては、1951年から続くデータ上で見ても1度も沖縄には台風が接近していません。ということは、台風の心配を一切せずに沖縄旅行を計画するのなら、1月から3月までの3か月間が良いということになります。
沖縄の台風の脅威を知ることが出来る場所

多くの台風がこれまで幾度も接近・上陸した経験を持つ沖縄では、台風の驚異的なエネルギーを目で見て感じることが出来る場所があります。この写真の岩があるのは、沖縄本島中部にある有名な観光地・残波岬です。
成人男性の2倍の身長ほどにも及ぶこの巨石は、19910年10月6日に沖縄地方を襲った台風21号の大波によって、灯台のある岬の方から内陸部へと大幅に移動してしまいました。
ちなみに、この岩も含め、50~94tもの巨石が、この時の台風の大波によって動かされたといわれています。
台風情報は気象警報と注意報をチェック
台風が発生・接近した時、旅行や台風対策の際に注目したいのが、天気予報の気象警報と注意報です。
発表される警報と注意報とは?
天気予報で発表されている警報と注意報には、大きく分けて3つに分かれます。
注意報
注意報には、「大雨」「強風」「波浪」「雷」「濃霧」の5つがあります。
警報
警報には、「波浪」があります。
特別警報
平成25年8月に運用された特別警報は、通常の警報の発表基準をはるかに超える被害が予想され、重大な災害の危険性が高まった場合に出される、最大級の警報をいいます。
台風で特別警報が出されたらどうする?
台風では、次のような特別警報が出される可能性があります。
大雨特別警報
広い範囲で数十年に一度の大雨が降ることによって、重大な土砂災害が予想される場合、大雨特別警報が出されます。大雨特別警報が発令されたら、直ちに市町村の避難情報に従い、速やかに適切な行動をとる必要があります。
ただし、特別警報が発令される条件には、「これまでに経験したことがないような異常な事態」となります。ですから、土砂災害警戒区域などに住んでいる、または、滞在している場合は、大雨警報が出された時点で、早めの行動をとることが望ましいとされています。